オタクのミカタ

オタク野郎の雑記

なぜアイドルアニメの主人公はみんな同じ性格なのか

 

 今季からラブライブの新作、ラブライブサンシャインが始まっておりますが、主人公の高海千歌を見たときに、僕はまずこう思いました。

 

 まーたこういうタイプの主人公か

 

 だいたい、アイドルアニメの主人公って皆似たような感じじゃないですか。

 素直で真面目、普通の女の子。

 やる気! 元気! いわき! みたいに明るくてポジティブ。

 アイマス然り、ラブライブ然り、アイカツしかり。

 

 皆さんも一度は思ったことがあるかもしれません。

 なんでどいつもこいつも同じようなタイプなんじゃ?

 ラノベ主人公でももうちょっと多様性あるぞと(ただしCV松岡)

 

 けどね、これってそうせざるを得ない面があると思うんです。

 つまり、アイドルアニメの主人公は、明るくて元気で、前向きでポジティブな子じゃないといけないという理由が。

 暗くて陰気で、お天道様の下を歩くこともままならないような引きこもりボトラーではいけない理由が。

 

 アイドルアニメの基本的な物語の構造って、ビルディングスロマン(成長物語)なわけですよ。

 これはアニメだけじゃなく、AKB48ももいろクローバーZのような実在のアイドルにも言えることかもしれませんが。

 なので作り手としては、視聴者の人にアイドルに感情移入してもらって、その子が成長していく過程を見守ってもらわないといけない。この子はわしらが育てた、と思ってもらわないといけない。

 ってことは必然的に芸能界である程度のポジションにいる子より、まだ芸能界に触れたこともなかったり、駆け出しだったり、そういうポジションにいる子を主人公に据えないといけないことになります。

 もう芸能界である程度の成功を収めて、未成年にも関わらずたばこを吸って謹慎処分になったり、不倫してクローゼットでセックスするようなアイドルに視聴者は感情移入できないでしょう。

 

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 (現場への移動中にヤニを吸ってるようなアイドル、応援したいと思います?) 

 

 それで、そういう子を主人公に据えたならば、素直で前向きな性格でないとスムーズに話が進んでいきません。

 引きこもりで陰鬱、ボトラーで、アイドルとして駆け上がる以前に部屋から出ることを目標とする女の子が主人公だったらば、まず社会復帰するのにワンクールはゆうに使うことになるでしょう。

 

 ところで日本と韓国では人気になるアイドルの条件が違うそうで。

 韓国では、歌もダンスもできる、完璧なアイドルが人気になる一方で、日本ではそのような完璧性は求められていない。

 歌もダンスもできない、不完全なアイドルのほうが人気が出るそうです。

 ただ一方的に受け手になるのではなく、応援しがいのある――わしが育てたといえるようなアイドルが好まれるのですね。

 相互性が求められているというわけです。

 

 ということで、アイドルアニメの主人公がみな同じ性格なのは、視聴者の感情移入を促しやすいからじゃないかというのが僕の結論です。

 アイドルとして一つの時代を築き上げた子が落ちぶれ、次の世代のアイドルたちをひたすら陰湿にいびり倒す――なんて話、好まれないでしょうし(僕としては少し見てみたくもありますが)

 

 アイドルアニメっていうのは、だいたい構造は同じなんですよね。

 アイドルに憧れる素直で普通の女の子が、仲間といっしょに努力をして、きらきら輝いてめでたしめでたしみたいな。

 王道だからこそ、売れるのでしょう。

 黄金の方程式ってやつです。

 

 その点で一つ、個人的に気になっていることがありまして。

 次クールから始まるアニメに「ガーリッシュナンバー」というのがありまして。

  「やはり俺の青春ラブコメは間違っている」の作者が原作で、新人の女声優が主人公の話なんですが、その女声優がめちゃくちゃひねくれてるんですね。

 性格が悪いというか、悪態をつきまくるというか。

 ラノベアニメはクソ! みたいなことを内心で吐きまくるわけです。

 

 で、僕が思うのは、声優って、今はアイドルみたいじゃないですか。クリスマスにはブログの監視とかされてますし。処女性とかも重要らしいですし。

 ってことはですよ、新人女声優が主人公のアニメってのは、実質的にアイドルアニメのようなもののわけです。

 その主人公が性格悪くて、ひねくれ者。

 割とアイドルアニメものの禁忌を破っているわけです。

 「やはり俺の青春ラブコメは間違っている」の主人公は男で、そのひねくれっぷりとぼっちっぷりが人気を博したそうですが、それは男だからで、新人女声優が同じようなことをして視聴者に受け入れられるのか。

 はっきり言って、アニオタはアイドル以上に声優を神聖化しているわけです。

 それを「ガーリッシュナンバー」は壊しにかかっている。

 果たしてその手法は斬新と受け入れられるのか、四次元殺法コンビのAAのように先人が思いついたけどあえてやらなかったことなのか。

 結果が出るのは、次クールのアニメが始まってからです。

 

 僕はたぶん、「ガーリッシュナンバー」は受けないと思います。

 アイドルアニメの主人公が同じ性格なのには確固とした理由があり、それはこの上なく間違ってはいないからです。

 素直で、明るくて、前向き。

 汚いところなんて少しもなくて、仲間思い。

 僕たちはアイドル(声優)に、そういった理想を抱いているからです。